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見ればわかる。横山崋山

横山崋山展を観てきた。


人との待ち合わせまで時間があったので言葉通りふらっと東京ステーションギャラリーに入ってみた。ここの展示会のクオリティはいつ来ても高い。
美術館は基本的にそれなりに高い金額を取る。一つの展覧会を開く為の費用を考えるとまぁまぁ妥当の金額どころかちょっとお得な気がしてしまうが、それでも視野を狭くして捉えるとちょっと高く感じる。少なくとも月に何度も足を運べるような価格帯ではない。一時期狂ったように美術館に通っていたが美術館通い以外の趣味はほとんど持てなかった。
だからどの展覧会に行くかは意外と重要な選択となる。時間もお金も限られている中で面白い展覧会に出会うには運も必要になる。しかし、東京ステーションギャラリーは一定のクオリティが保証されているのであれこれ悩むことなくふらっと入ることができる。1000円札1枚とちょっとの小銭があれば誰でも入れるし、個人差こそあれ美術館を楽しむことができる。ただし美術というものに心からの抵抗がある人はその限りではない。





話は逸れたが、今回は横山崋山の展覧会に行ってきた。日本画をこの場で観るのは初めてだし、日本画を観ること自体久しぶりであった。普段西洋画を良く観るこの場で日本画に触れるのは新鮮であったし、ここ2年程日本画に触れて来なかったこともまたそのように思わせた。そういったことは抜きにして、純粋な日本人的な画風であると感じた。

横山崋山の最大の売りは強調しない点であると思う。他の日本画はこれでもかと強調することに重点を置いているように見受けられるが、彼の作品はとにかく強調をしない。しかしその中で主張はする。線の薄さが特にそう思わせる。手抜きというのではなく、抜きどころをしっかりと抜いてくることでシンプルに描いた部分が強調されるのだ。屏風絵や掛け軸の絵などを眺めるとわかるが、小さい部分はとにかく簡略化して描いているし、いわゆる“漫画”と呼ばれる“書いてみた”的な作品は余計な力が完全に抜けていて、味わい深い出来栄えとなっている。素朴さに良さを感じた。

この他にも後半で祇園祭に使われる山車を書き留めた巻物絵が披露されているのだが、現代で言うところの妹尾河童氏のような細かさが如実に現れている。その調査力観察力、っそして細部に渡る表現力には驚かされるばかりである。

求められていることをしっかりと表現する辺りに彼の職人としての使命感を思わせる。まさに見ればわかるという世界なのである。

さて、そんな彼は現代ではあまり名前を聞かない。こんなに良い作家がどうして後世に名を残していないのか。答えは彼がどこの派閥にも属していなかった事に端を発している。

当時の画家は○○派と呼ばれる流派に属し師弟関係の中に身を置くことで筆の腕を磨き知識を身に付けていくものだが、彼はそういった派閥とは無縁であった。確かに師匠はいたし、弟子もそれなりにはいたようだが、派閥としての組織力は示してこなかった。
しかし実力は相当のもので、彼が現役のときはレジェンドに並んで名を轟かせていたし、引退・死去後はレジェンドとして名を残すこととなった。サッカーで言うところのメッシやロナウドがペレやマラドーナと並んで評価され、また引退後の選手がレジェンドと共に紹介されることがあるのと似ている。

そんな彼の名は江戸・明治・大正辺りまでは残ったが、じきに○○派を一括りにして紹介される世の中になり、その結果横山崋山という名は歴史の深くに埋もれてしまうこととなった。名が残るかどうかも運1つで決まってしまうのだ。

そんな横山崋山展は

東京駅内の東京ステーションギャラリーにて
2018年9月22日(土)〜11月11日(日)

の期間で開催される。閉館日に注意! 詳しくはHPにて!
http://kazan.exhn.jp/

この後は宮城京都を約一年かけて回るそうだ。東京で見れない方は時期は異なるが宮城や京都でもお目に掛かることができる。

おすすめだ。

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